住宅における基礎コンクリートは、家屋の非常に大きな重量を支える大切な役割を担っています。
そして「取り換えがきかない」という点でも重要な構造物です。
住宅という大切な財産を、50年、100年と長期的に利用するためには、住宅のベースである「基礎コンクリート」の適切な点検とメンテナンスをしていくことが大切になります。
家屋の基礎コンクリートには平均7本のひび割れがある!
「基礎といえば建物の土台。そんな簡単に傷むことがあるのか?」
こうお考えの方も多いかもしれませんが、ビルシステム株式会社の調査データによると、既存住宅の基礎コンクリートのクラック(ひび割れ)について次の驚くべき結果が出ています。
- 物件に「ひび割れ」がある確率…約80%
- 1物件辺りの「ひび割れ」本数」…約7本(6.8本)
ある程度のひび割れは、基礎コンクリートの乾燥収縮により発生するため避けられないものです。基礎の表面に発生する0.3mm未満のひび割れを「ヘアークラック」と呼び、一般的に大きな支障はありません。
しかし「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によると、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性について、基礎のひび割れが0.3mm以上~0.5mm未満では「一定程度存する」、0.5mm以上では「高い」とされています。こうしたクラックを早期発見し、早期対策を行うことが住宅を守るために非常に重要なのです。
基礎のひび割れ補修をしないと、家はどうなるの?
基礎コンクリートのひび割れを補修せず放置しておくと、一体どうなるのでしょうか。
その変化を順を追ってご説明します。
ひび割れがない状態
コンクリートはもともと強いアルカリ性を有しています。そのため、基礎内部の鉄筋がコンクリートに覆われている間は、そのアルカリ性によって鉄筋は錆び(酸化)から守られます。
コンクリートの中性化
鉄筋を覆うコンクリートは、空気中の炭酸ガスの影響によりアルカリ性が徐々に失われていきます。この現象を「中性化」と呼びます。
アルカリ性が失われた部分の鉄筋は錆び始めます。
もしコンクリートにひび割れがあると、ひび割れから雨水や炭酸ガスが侵入し、この中性化と錆びが急速に進行してしまいます。
コンクリートの爆裂
内部の鉄筋が錆び始めると、錆により鉄筋が膨張し、コンクリートを内部から破壊してしまうため、最終的にコンクリート表面がはがれ落ちてしまいます。
これを「爆裂」と呼びます。
最悪の場合、家が傾いてしまう危険も
基礎コンクリートの爆裂が起きてしまうと、基礎の耐久性は著しく低下し、最悪の場合は「耐震性の著しい低下」や「家の傾き」を引き起こします。
そのため爆裂が起きたら、周囲のコンクリートをはつり、鉄筋の錆を取り除くなど鉄筋の修繕を行い、エポキシ樹脂モルタルで埋め戻すという補修工事が必要となります。
その作業もかかる費用も、簡単なものではありません。
住宅基礎コンクリートのひび割れを発見したら、
早めに補修することを強くおすすめします。